冠婚葬祭Q&A マナー辞典 > 結婚のマナー > 結婚式・披露宴[主催者] > 司会者の心得とマナーは?
司会を依頼されたら、まず新郎新婦との綿密な打ち合わせから始めましょう。どんな感じの披露宴にしたいのかをよく聞いたうえで、進行・演出を考えます。招待客の人数や顔ぶれを考慮し、格調高く、オーソドックスな宴がいいのか、打ち解けたほうがいいのか基本方針を決め、それに合わせて大筋のプログラムを組みます。なお会場の広さや設備、サービスの内容なども、事前に下見をして確認しておきます。
プログラムを組んだら、細かい時間の目安を決めたタイムテーブルを作成します。式場側の料理の出具合などと組み合わせ、スピーチや余興の入れ方を考え、それと合わせて、司会者自身の口上を書いたシナリオも作っておきましょう。新郎新婦が色直しで不在中にスピーチや余興をお願いするのは避けるべきです。もしこの間に何かしたければ、招待者側のもてなしの意味での余興か、二人の生い立ちを紹介するスライドなどでしょう。なお、媒酌人をはじめ、スピーチをお願いする方の姓名と肩書、本人たちとの関係を正しくメモし、固有名詞にはふりがなをつけておきます。
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披露宴を盛り上げるための司会術
◆セリフに新郎新婦のエピソードを盛り込む
司会者のセリフは、ある程度決まっているものですが、新郎新婦のちょっとしたエピソードなどをはさむと内容に厚みが生まれ、たのしい司会になります。新郎新婦の人柄や趣味、二人が知り合ったきっかけ、交際中のエピソードなどを盛り込みます。また、媒酌人やスピーチなどを依頼した人と新郎新婦との間柄を確認しておくほか、新郎新婦の衣装や会場の特色、料理の内容なども司会のための材料に。事前に情報収集をきちんとしておけば、それだけ余裕も生まれるものです。ただし、あまり立ち入らないよう一線を引く配慮も忘れずに。
◆招待客の席次をチェックしておく
祝辞や余興を頼んでいる人の席はあらかじめ確認し、席次表に印をつけておきます。中座しているときに名前を呼ばないようにしましょう。
◆スピーチにつかえた人には助け舟を
スピーチの途中でつかえてしまった人には、さりげなく助け舟を出しましょう。たとえば「ご親友の幸せいっぱいの姿に感無量のご様子ですね。そのお気持ちがお二人への何よりのメッセージです」などとつなぎます。
◆はしゃぎすぎは禁物
明るく盛り上げようとするあまり、はしゃぎすぎないように。また、宴の雰囲気に引き込まれて言葉や態度が雑にならないように気をつけて。最後まで、冷静に節度ある対応を心がけます。
司会者の服装は、基本的には招待客のものと同様ですが、人の注目を浴びやすい役割ですから、どちらかというとベーシックで控えめなものを選んだほうがいいでしょう。男性なら黒の上下やダークスーツ、夜なら黒か紺のタキシードなど。女性の場合はシンプルなアフタヌーンドレスかカクテルドレスで、やはり色や柄は抑えめにします。
当日は挙式一時間前くらいには式場に行きましょう。まず控室の新郎新婦、媒酌人、双方の親族などにあいさつをし、列席者の変更の有無などを確認します。会場責任者との打ち合わせ、祝電の整理も行います。
招待客が集まっていらしたら、スピーチなどをお願いする方にあいさつをし、およその時間と順番を知らせ、肩書や紹介の仕方を確認します。このとき、まず自分が司会を務める旨を自己紹介するとともに、本人二人が腰かけたままお話をいただくことのお許しを得ておくことが大切なマナーです。
招待客に対しては尊敬語、招待者側に対しては謙譲語を使います。自分が招待者側の立場であることを忘れなければ、自然と使い分けられるでしょう。また「…です」「…ます」と、語尾をはっきり発音することが大切です。
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こんなとき司会者はどうする?
◆祝辞予定者が中座している場合
祝辞を予定している方が中座しているときは、順番を入れ替えるなどして対処します。
開宴時から席があいていたり、あらかじめ遅れる旨の連絡があった場合は、「ここで○○様よりご祝辞をいただく予定でございましたが、交通渋滞のためまだご到着になっておられません。ご到着次第ご祝辞をいただくことにしまして、先に進めさせていただきます」と断ってから進行させます。当人が到着したら、きりのいいところで「ただいま○○様がご到着されましたので、さっそく祝辞をいただきたいと思います」という具合に、祝辞をお願いします。
◆時間が足りなくなった場合
祝辞が長くなるなどして、時間が足りなくなりそうなときは、「まことに勝手なお願いで恐縮ですが、これからのご祝辞はお一人さま二分程度でお願いいたします」というように断りを入れてお願いします。また、友人などをまとめて紹介し、一人一人でなく何人か続けてリレースピーチにするなどします。
◆時間が余った場合
どなたかに余興などのピンチヒッターをお願いします。このような場合に備えて、あらかじめ新郎新婦と相談してリストを作っておくと安心です。あるいは、司会者が招待客の方々にお祝いのインタビューをして回ったり、余興のアンコールを頼むのもいいでしょう。