冠婚葬祭Q&A マナー辞典 > 祭事のマナー > 祭事のマナー > 家族で過ごす七夕の夜は?

家族で過ごす七夕の夜は?

七夕は中国の伝説と日本の古い行事が重なったもの


七夕は、天の川をへだてた牽牛星と織女星が年に一度だけ会うことのできる日です。この七夕伝説は中国から伝わったもので、そこから、「乞巧奠」の習慣も伝わってきました。「巧みを乞う」という意味を持つこの習慣では、織女星にあやかって女性が機織りや洋裁、歌舞音楽の芸事や詩歌文学などの上達を祈ります。また日本には七月六日と七日に関係する「棚機津女」という古い信仰も伝えられていました。「棚機津女」とは、この時期に訪れる神様を迎えて祀るために、村の乙女が水辺の機屋にもどる行事。機屋から出てきたときに水辺で禊を行うと、災難とのかかわりを取り去ってくれると考えられていました。この日本の行事と中国の伝説が重なって、現在の七夕になったと言われています。

我が家なりのアイデアで素敵な七夕飾をつくる。

江戸時代に入ると、笹竹に飾りをつける七夕飾りの習慣が盛んになりました。そのころの日本は、ちょうど手習いが広まり始めたころにあたります。ですから、もともと短冊に機織りや手芸、書道が上達するようにという願いごとを書いていたようです。現在では、六日の夜に七夕飾りを用意します。家族勢揃いして五色の色紙を切って短冊をつくったり、五色飾りをつくったりしましょう。いまでは短冊に書く願いごとに決まりはありません。子供たちにも自由に夢や願いごとを書かせてあげましょう。短冊は細く切った和紙をよってこよりにし、笹竹の枝に飾りつけます。このほかにも、我が家なりの工夫を子供たちと一緒に考えて、飾りつけをしたいものです。七夕飾りは夜のうちに軒先に飾り、裁縫の糸や天の川を思わせるそうめん、瓜や茄子、くだものなどを庭先やベランダへ供えます。

家族の食卓で七夕伝説や牽牛星と織女星の話を

七夕飾りは七日の夜に軒先から下ろします。もともとは、この七夕飾りは海や川へ流して神様に持ち去ってもらう風習でした。これは「七夕送り」と言いますが、現在では海や川の汚れを防止するため、「七夕送り」の行事を行う地方も少なくなっています。とはいえ、七夕飾りを放っておくわけにはいきません。七日の夜には片づけて、燃やすのが無理な都心部であれば可燃ゴミとしてゴミ回収車に任せるようにしましょう。この日の夕食には、お供えするものと同じくそうめんを食べる地方があります。そうめんを天の川に見立て、野菜やゼリー、ようかんなどを星形に型ぬきして浮かべれば子供たちも喜んでくれそうです。七夕の由来や、牽牛星と織女星の話をしながら食卓を囲み、星に思いを馳せてみるのもたのしいかもしれません。

COLAMUN
地方別・七夕行事
北海道・東北地方
北海道では、一般的に新暦に七夕行事を行います。この日はお盆の始まりと考える地方が多く、月遅れのお盆の地域では、八月七日に墓掃除を行っているようです。八月初旬にわらや紙でつくった人形を水に流す行事が多い東北地方。青森県の「ねぶた祭り」でも、以前は旧暦七月一日から行われて七日に川や海へ流すものでした。これは「ねぶた流し」と呼ばれ、禊による祓の行事とされています。ちなみに、秋田県秋田市の「竿灯まつり」も、もとは「ねぶた流し」と呼ばれていた行事。真菰で「七夕馬」をつくる地方もあるようです。
関東地方
群馬県では、川の名前を書いた色紙の短冊を結び付けた新しい竹と赤飯、うどんなどの食べ物を真菰の馬と一緒に供えるしきたりがあります。また、茨城県の南部など真菰がない地方では、わらで雌雄一体の馬をつくり、竹に結びつけます。このころには、鉦をたたいたりして田畑の害虫を追い払う「虫送り」という行事も各地で行われています。
北陸・甲信・東海・近畿地方
七月六日の夜、新潟県の海岸部では「七夕丸」という大きな船をかやでつくり、わらの馬を下げる風習があります。この船を村中担いでまわり、七日の朝には海に流してしまします。静岡県田方郡では八月七日の朝に小学生が中心となって、海に七夕飾りを立てる行事が行われます。このほか、近畿地方では八月がお盆の月となるために七夕行事も月遅れで行う地域があります。また、七日盆の慣習が各地で見られるのも近畿地方の特色。この日には仏壇の掃除や墓掃除が行われるようです。
中国・四国地方
島根県隠岐郡では、子供たちが桟敷をつくって笹竹に短冊などを結びつけます。このほかに手製の提灯や、茄子やキュウリを使ってつくった牛馬人形も飾り、夜半まで歌って遊ぶようです。夕食は持ち寄った会費や寄付金などで保護者が手伝いながらつくります。以前は「とおれ、とおれ稲の虫やとおれ」と言いながら、村中を行進して「虫追い」も行っていたそうです。四国の愛媛県伊予市では、六日の宵のうちに子供たちがスイカやカボチャなどでつくった提灯をつけて遊ぶ習慣が残っているようです。
九州・沖縄地方
かつては月遅れの七夕を行っていた九州地方でも、最近では新暦に行事を行うことが多いようです。熊本県の一部では、六日の夜に青年たちがわらで長い縄をつくり、同じくわらでつくった人形やわらじ、卵などをぶら下げます。場を清めて先祖の霊を迎えるためのこの縄は「七夕綱」と呼ばれ、集落を流れる川に張り渡します。沖縄県の七夕行事は、ほかの行事と同じく旧暦に行われることが多く、お盆につながる行事として七日は墓掃除をしてお盆の案内を行います。この際、お墓にはお酒やお茶、線香など、仏壇にも簡単な料理を供えるのがならわしになっています。


このページのトップへ