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お返しの心得は?

お返しは日本の美しい習慣

 
 日本では古来、婚礼や葬儀など冠婚葬祭には、共同体の人間(村人)が米や野菜、またはお金などを持ち寄り、相互扶助をしてきました。そして行事が終わると、残った金品を村人たちに返すことが習わしになっていたといわれます。お返しの起源はここからきたものといわれ、助けてもらった金品のお返し、収支決算書のような合理的な意味合いをもつしきたりだったことが分かります。喜びや悲しみに贈られたものに対してお返しをすることは、日本人にとってごく自然に身についた習慣であり、外国人にはみられない美風という人もいます。

人生の喜びごとに対するお祝いにはお返しを

 一般的にいってお返しを必要とするのは、結婚、出産、長寿、新築、受章(賞)といった大きな祝いごとの場合。こうした際は、祝ってくれた人や世話になっている人を招いて、自分の喜びを分け与えるのが本来の祝い方とされていました。これを内祝いといい、かつては自宅に招いて飲食でもてなす習慣でした。しかし、交際範囲が広がり交際のあり方も多様化した昨今、招く代わりに品物を贈ってそれを「内祝」とするようになりました。お返しを「内祝」と呼ぶのはここから出たものと思われます。ですから、祝宴などに招いた方へは内祝品を贈らなくても礼を失することにはならず、同時にお祝いをくれた人だけがお返しの対象ではありません。自分の喜びを分けることですから、お世話になっている人、親しい人などに贈るのが「内祝」の大切なところです。もう一つ、お返しが必要なのは香典を受けた場合。こちらは故人に向けられた金品を「確かに備えました」という遺族からの報告と感謝の気持ちを伝えるものだからです。

パーソナルギフトのお返しはケースバイケース

 誕生祝い、入学・卒業など個人へ贈られるパーソナルギフトについては、お返しは特に必要ではなく、「ありがとう」の言葉で通じます。グリーディングカードを利用することもあり、「サンキューカード」がそれに当たります。
 母の日や、父の日、敬老の日の贈りものと、お中元・お歳暮は、それ自体が感謝のしるしですから、お返しはしなくてもいいでしょう。しかし、地方によっては、入・進学の内祝を盛大にすることもあり、必ずしもお返しは不要といえないことろもあります。
 また贈りものの性格上、各種のお見舞いにはお返しは必要ないと思われます。病気なら元気になることが、災害なら早く立ち直ることが好意に報いるいちばんの方法のはず。しかし、病気見舞いに対して全快を報告する「快気祝」は一般的な習慣となっています。











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