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分骨したいときは、いつ申し出る?


●前もって葬儀社の係員に相談しておく  

 
 遺骨を分けて、菩提寺や本山などに一部を納めることを分骨と言います。

 事前に葬儀社の係にその旨を伝えておくと、分骨用の骨壷や骨袋を用意してくれます。また葬儀社の係が、火葬場の係員にも分骨の旨を伝えてくれますので、骨揚げの際も分骨用の遺骨をより分けてくれます。分骨は、骨揚げのときにしておくほうがいいでしょう。


COLUMN

地方別に見る出棺の風習

◆北海道・東北地方
 全国各地からの移住者が多い北海道では、地域によって東北風であったり、北陸風であったりさまざまな習慣が見られます。
 青森県では、出棺は通夜の前に行われ、岩手県や宮城県、秋田県などでは、葬儀の前に出棺が行われます。
 また福島県では、葬儀・告別式や出棺のときには、遺族の男性が麻の袴姿になることが多いようです。

◆関東地方
 茨城県では、棺が出された後、家に残った人が棺を安置していた部屋に塩をまいたり、ほうきで掃いたりする「清め」を行うことがあります。
 栃木県では県の北部に土葬の残っている地域もあります。土葬の際に真言宗系の家では、竹かごをつけ、その中に色紙などをお金に模して入れ、出棺のときにその色紙を撒くようなことを行います。

◆北陸地方
 富山県・高岡市では、棺に白いさらしを巻いて、霊柩車へ運ぶ習慣がみられます。
 石川県では、喪主が昔ながらの白装束のいでたちで、故人を見送る地方が多いようです。
 福井県は、弔いの儀式を厳格に守っている地方です。例えば、出棺前に棺に白米をまいたり、玄関先でわらなどを燃やして送り火をしたりします。

◆甲信・東海地方
 山梨県・大月市では、棺を持った人が、庭先や墓地で三回ぐるりと回る習慣があります。
 長野県では、故人が生前に善光寺参りをしていた場合は、血脈と呼ばれる法門の系図を書いたものを棺のなかに入れることがあります。
 岐阜県郡部では、まだ土葬の習慣が残っていて、野辺送りの際は、野位牌、三具足、供物などを縁者が持って葬列を組みます。
 愛知県・三河地方では、茶わん割りが一般的な習慣です。また尾張地方では、「出立ちの膳」を回したり、西部ではその膳にとうがらし汁、こしょう汁などが出されます。
 三重県の農村部では、「いろを着る」といって、遺族が白い布を身につける習慣があります。また南勢地方では、「涙手ぬぐい」という、白や黄、赤などのさらしを手ぬぐいの大きさに切って、白は子ども、赤は孫などというように近親者に配る習慣がみられます。

◆近畿地方
 釘打ちの儀式は全国ほとんどの地域でみられますが、京都府では、釘打ちの必要のない棺が普及していますので、遺族の釘打ちの儀式は急速に減っています。
 大阪府では、浄土真宗を除いて、出棺の茶わん割りの儀式を行うのが一般的です。近年では、葬儀社で茶わんを割る係を設けている例もみられます。また扇子を屋根に投げる地域もあります。
 兵庫県川西市周辺では、茶わん割りは女性が行うものとされています。また播磨地方では、出棺時に庭先や玄関で棺を3度回すことがあります。
 和歌山県では、棺が門を出ると、生前に故人が使用していた茶わんが割られ、地域によっては、門火が焚かれます。これは、故人の霊が迷って家に戻ってこないようにするためだそうです。

◆中国地方
 鳥取県・鳥取市や倉吉市の一部では、親族の女性たちが、「善の綱」と呼ばれる長いさらし布を引くことがあります。
  岡山県では「置き布」という習慣があり、故人が生前に着ていた着物を身内の女性が持って葬列に加わる風習が残っています。着物は、菩提寺に納められます。また郡部では、出棺後に留守役の人が、棺が安置されていた座敷でざるを転がす習慣がみられます。
 広島県北部では、野辺送りの道具として、現在でもわらでつくったかごと竹で編んだ花かごを用意します。
 山口県では、遺族が肩などにさらしをかける習慣がみられます。また出棺直前に、「出立ち」などと呼ばれる食い別れの儀式が見られます。これは、近親者などが簡単な食事をするのですが、地域によっては、大豆や飯のおこげなどを食べるところもあります。

◆四国地方
 香川県全般に見られることは、近親者の女性が髪に三角の白い紙をはさんで、火葬場や墓地に行く姿です。
 愛媛県・松山市では、遺体を納棺するときに、枕飯を枕だんごとともに頭陀袋に入れ、故人の首にかけます。からになった茶わんは出棺するきに割ります。
 高知県では、「願ぶるい」などと呼ばれる「故人が生前に神仏に願った願を取り下げる」という意味から、棺の上に羽織を逆さにかぶせ、出棺するときにその羽織を逆さまのまま三回振るならわしがあります。

◆九州地方
 福岡県では、出棺前に「出立ちの膳」を出す地域があります。遺族や親戚が、別室で簡単な精進料理を食べる例もあります。柳川市では、この膳に冷酒を出します。
 博多などでは、霊柩車が火葬場へ行くのに櫛田神社の前を避けて通ったりします。
 長崎県・平戸の大島村では、野辺送りに額に三角の布を巻く習慣が残っています。また対馬の豊玉町や西彼杵郡などに「水かけぎもん」とよばれる習慣が残っています。これは、故人の着物を裏返しにつるし、一週間ほど毎朝晩に水をかけるものです。
 熊本県・球磨郡では、出棺のあと、棺を安置していた座敷をほうきで掃きますが、掃くのは内に向かって行うのがならわしのようです。
 大分県・南海部郡では、卍の書かれた帽子をかぶる習慣があります。また久大地方では、棺が安置されていたところになたなどの刃物を置きます。
 鹿児島県北部では、遺族が白い布を肩からかけたりしますが、葬儀から帰って、まだ敷居をまたがないうちにその布を庭先の垣根にくくりつけておいたりします。

◆沖縄地方
 葬儀の前に火葬されますが、遺族は、最後のお別れをして、棺に花を入れることもあります。
 八重山や南部では、弔旗を掲げて野辺送りをします。


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