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仏式の式次第は?


●会場係は祭壇、参列者席の準備を  

 
 会場係は、供花・供物の名札と順序を確認しておきます。並べ終わった後に届いた供花や供物は、到着順に並べていきます。



●受付は葬儀の始まる三十分前くらいから開始する


 受付には、受付係が立ち、弔問客への応対と受け取った香典の処理をします。

 芳名帳と筆記具を差し出し、弔問客に名前と住所を記帳してもらいます。弔問客から差し出された香典は、両手でていねいに受け取ります。受け取った香典は姓名と金額を記載し、別室の会計係に順次渡します。

 弔問客からのお悔やみの言葉を受けたときは、喪主に代わって答礼します。

 会場へは、係が席まで案内します。

 弔問客が手荷物を持っているときは、携帯品係が預かり、預かり証の番号札を渡します。



●到着した僧侶は控え室に案内する


 僧侶は十分前くらいに到着しますから、係はすぐに控え室に案内し、接待係が茶菓で、もてなします。

 喪主と世話役代表は、僧侶にあいさつするとともに、式についても確認をしておきます。



●仏式の葬儀は読経のなかで焼香をする


1.参列者着席  喪主や遺族、近親者は、葬儀の開始時刻より前に会場に入って席につき、葬儀の始まるのを待ちます。
 座席は、祭壇に向かって右側に遺族や近親者が、左側に一般弔問客が座ります。喪主は、右側の最前列で通路側に座り、その隣りから故人と血縁が深い順番に座ります。
 祭壇の左側で、喪主と対称の位置に座るのは、世話役代表。あとに各世話役、故人の勤務先の代表者、恩師、先輩、友人や知人、職場関係の人と並びますが、故人ととくに親しかった友人や知人、社会的に地位の高い人などは、遺族や近親者の後ろに座ってもらうことがあります。
 この席順は、焼香の順番にもなりますので、会場係は喪主と念を入れて打ち合わせておく必要があります。
 一般の弔問客や式の開始後に到着した人は、到着順に席に着いてもらいます。

2.僧侶入場  進行係は、葬儀の開始の時刻になり、参列者もおおかた着席したら、控え室から僧侶を会場に案内します。
 僧侶が入場すると、参列者一同は、黙礼をして迎えます。この場合、会場が椅子席の場合は、参列者は起立します。畳敷の会場の場合は座ったままで一礼するのがしきたりです。

3.開式の辞  「ただいまより、故○○○○様の葬儀並びに告別式を行います」という司会者の言葉で式が開始されます。司会は進行係などが行いますが、葬儀社に任せることもあります。また場合によっては、僧侶自身が葬儀の開始を告げることもあります。

4.読経・引導渡し  読経の一般的な内容は、故人が無事に成仏し、仏の弟子になることを認めて引導を渡すのですが、葬儀のなかでもっとも重要な部分にあたります。
 読経は約三〇~四〇分続きますが、その間、喪主以下の参列者は、故人の冥福を祈って唱和するか静かに拝聴します。隣の人と話をしたり、中座するようなことはマナー違反です。

5.弔辞朗読  読経が終わると、司会者が「ただいまより弔辞をちょうだいいたします」と告げ、「○○○○殿」と、弔辞をいただく人の名前を呼びます。呼ばれた人は、祭壇の前に進み出て朗読します。
 弔辞は、ふつう一人が二~三分程度の長さで、二~三人が弔辞を読みます。読み上げた弔辞は、祭壇に供えていただくよう前もってお願いしておきましょう。

6.弔電披露  司会者によって弔電の披露が行われます。弔電は前もって選んであるもののなかから二~三通の全文を披露して、残りの弔電は差出人の氏名のみを読み上げ、電文の紹介は省略します。司会者は、省略することの断りを述べます。

7.遺族の焼香  再び僧侶の読経が始まり、喪主以下、遺族や近親者の焼香が行われます。席の順に間を置かずに焼香をしてゆきますが、場合によっては、司会者が焼香をする人の名前を読み上げることもあります。その場合は、名前を呼ばれてから席を立ち、祭壇に向かいます。

8.一般会葬者の焼香  司会者の案内で一般会葬者の焼香が始まります。焼香は、着席している順番で行います。前の人が焼香を終えたら、間を置かずに席を立ち焼香台に向かいます。全員の焼香がすむと、僧侶の読経は終わります。

9.僧侶退場  読経を終えたあと、僧侶や伴僧は、すみやかに退場します。参列者一同は、椅子席なら起立して、畳敷の会場なら座ったままで一礼して僧侶を見送ります。

10.遺族代表のあいさつ  遺族の代表あるいは世話役代表が行う、会葬御礼のあいさつです。ふつうは出棺のときに行いますが、規模の大きな葬儀や火葬がすんでいて出棺を行わない場合には、僧侶退場のあとにあいさつをします。

11.閉式の辞  司会者の「これをもちまして、故○○○○様の葬儀ならびに告別式を終了させていただきます」と、閉式の辞が述べられると、葬儀・告別式は終了します。引き続いて遺族は故人との最後のお別れをします。一般会葬者は会場の外に出て、霊柩車のそばで出棺を待ちます。


●仏式の式次第(例)

式の流れ 遺族 一般会葬者
受付開始 ●式の三十分前には受付を開始 ●式開始の十分前には受付をすませ、静かに始まりを待つ
僧侶到着 ●僧侶を控え室に案内し、茶菓でもてなす
僧侶入場 ●進行係が僧侶を式場に案内●一同黙礼で迎える ●一同黙礼で迎える
開式の辞 ●司会者が開式を告げる
読経・引導渡し ●静かに拝聴する ●静かに拝聴する
弔辞朗読 ●司会者は朗読者の名を呼ぶ ●指名された人が弔辞を読む
弔電披露 ●司会者は弔電を読み上げる ●静かに拝聴する
遺族焼香 ●読経の中、喪主から順に焼香する ●静かに見守る
一般会葬者焼香 ●静かに見守る ●座席の順に焼香する
僧侶退場 ●黙礼で見送る●進行係は僧侶を控え室に通し、茶菓でもてなす ●黙礼で見送る
遺族の挨拶 ●代表者が一般会葬者に会葬御礼の挨拶をする ●静かに拝聴する
閉式の辞 ●司会者が閉式を告げる


COLUMN

「引導を渡す」とは?
 
 日常会話のなかでも「引導を渡す」という言い方をしますが、この場合には「最終的な結論を言い渡してあきらめさせる」という意味が含まれています。そもそもこの表現は、「法華経」のなかの「以引導衆生」という言葉に由来しています。「引導」とは、手引きして導くことで、仏教において道に迷った人が仏道に入り、真の道を求める菩提心を起こさせ、仏に帰依する決意を促すことが本当の意味です。葬儀のなかでも僧侶は、読経して引導を渡しますが、その渡し方は、宗派によってさまざまなようです。

赤ちゃん連れの弔問は?
 
 遺族や近親者が赤ちゃんを連れている場合は、世話役と相談して、遺族や近親者の席には並ばないようにします。焼香の順番が近付いたら赤ん坊を連れて入場し、焼香だけをして退場します。近親者以外なら赤ちゃんは誰かに預けて弔問を。
 葬儀の間静かにしていることができる聞き分けがあれば、子どもを連れて参列してもよいでしょう。
 一般会葬者の場合は、知人に預けて、親だけが焼香をしても、あるいは子どもと一緒に焼香をしてもかまいません。


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