冠婚葬祭Q&A マナー辞典 > 葬のマナー > 危篤~臨終[遺族] > 葬儀費用はどのくらいかかる?
葬儀費用を大別すると、①葬儀を依頼した業者に支払う費用、②寺院などへ支払う費用、③通夜からの参列者への飲食接待費用の三つに分けられます。この三つを合わせていったいどのくらいの費用を葬儀に費やしているのでしょう。
平成四年の全日本葬祭業協同組合連合会の調査によると、全国平均で①の費用が112万円、②の費用が51万円、③の費用が43万円ですが、合計金額では、101万円~105万円がもっとも多く(13・7%)、250万円以内ですませた人が5割弱となっています。
葬儀料金には、納棺用付属品、祭壇、祭壇飾りつけ用品一式、たれ幕、告別式用焼香具、記載帳、道順表示票、忌中札、霊枢車、火葬料、骨壺・骨箱などが含まれるのが一般 的で、そのほかに死亡通知状や会葬礼状の印刷、遺影の複写・引き伸ばし、納棺用の生花や祭壇用の供物などをはじめ、喪服の貸衣装や葬儀場の手配、僧侶の手配、葬儀の司会や通夜ぶるまいなどのサービスも頼めます。方針によって何を依頼するかを最初に決めておきましよう。
葬儀は形式や依頼する業者などによって費用は異なってきますが、前述の全日本葬祭業協同組合連合会の調査によると、料金設定は、次の四つのタイプに分類できるようです。
①一式システム… 葬儀一式を一括で請け負い、料金を設定するシステム。
②基本+別途料金…葬儀の基本部分を価格設定し、それ以外のサービスはオプションとして別途請求するシステム。 この方法には「祭壇」に価格設定する場合と「祭壇+サービス」に設定する場合があります。
③見積システム… すべてのサービスや商品をひとつひとつ見積もって料金提示する方法。
④その他 ①②③以外の方法。
四つのシステムのなかで「②基本+別途料金」、なかでも「祭壇と複数のサービス」を採用している業者が、全国的にみて多いという結果が出ています。
葬儀料金は、自宅で行ったかどうか、規模や会葬者の数などで異なってきますから、「葬儀費用の実例」を参考にしながら、イザというときのために、ふだんから情報を集め、どういう業者にどのように頼むのがいいか心づもりをしておくことが大切です。
葬儀費用の実例(1993年度・国民生活センター調べ)
●<一般葬祭業者の場合>東京都の自宅、会葬者238人◇設定価格(基本料金) "500,000円" (A) 寝棺、霊前用品、祭壇、室内装飾設備、表回り、表回り設備装飾、係員 ◇設定価格以外のもの(別途料金) 付帯品(設定価格に含まれているサービス・商品に付帯するもの)
(B) 遺影写真1組 "40,000" ドライアイス2回 "16,000" 会葬礼状300組 "30,000" 式模様スナップ サービス 忌中祭壇設備飾付け一式 サービス "86,000円" "【設定価格+付帯品合計(A+B)+消費税=603,580円】" ◇その他 立て替え金(葬祭業者が立て替えた金額)
(C) お供ハイヤー2台(20km) "55,620" マイクロバス "40,170" 預かり金(葬祭業者が施主から預かり、代わりに支払い後で精算する)
(D) 霊きゅう車(20km) "43,460" 火葬料 "42,000" 納骨容器・箱・覆い・風呂敷一式 "32,960" 心づけ "50,000" 取り次ぎ品(葬祭業者が他業者に取り次ぐもの)
(E) 通夜粗供養品(菓子・清酒セット) "97,850" 会葬供養品(ハンカチ) "122,570" 生花 "30,900" "【合計 (A)+(B)+(C)+(D)+(E)=1,119,110円】"
COLUMN
当座の金を用意する。心付けは白封筒に「志」
必要品の購入もありますし、通夜や葬儀でお世話をかけた人へのお礼として心づけも必要であり、当座の現金を用意することを忘れずに。心づけを渡す相手は、世話役をはじめ受付などの係をしてもらった人、また霊枢車などの車の運転手、斎場や火葬場の係員、葬儀社の人などです。
心づけはお礼の気持ちですから、渡す渡さないは自由ですが、地域の習慣にも配慮したいもの。葬儀社の人と相談し、一括して任せるのが一般的です。
この場合の心づけは、一般には不祝儀袋になるのですが、差し上げる相手に不幸があったわけではありませんから、白封筒に表書きは「志」とし、喪家の名前を書いて少し多めの数を用意しておきます。