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正月の祝い膳のマナーは?

家庭の味と料理法を生かした雑煮がいちばん


お正月の祝い膳の代表は、なんといってもお雑煮とお屠蘇、そしておせち料理です。お雑煮は、年神に供えた餅を家族がおすそわけして三が日の間、毎朝いただくものです。
地方によって、すまし仕立てや白味噌仕立て、丸餅やのし餅、具なども違いますが、その地方はもちろん、我が家ならではの味や料理法でつくるのがいちばんでしょう。お屠蘇は、不老長寿といわれる正月用のお酒です。屠蘇散をみりんや清酒に浸し、しきたりでは塗りか銀、錫などの屠蘇器に入れて、三つ重ねの杯で飲みます。元旦の朝、一家揃って食卓につき、お雑煮をいただく前に順に杯をまわして飲みますが、このとき、若さを吸い取るという意味で、年少者から飲む風習もあります。お屠蘇をつぐときには三回に分け、杯を両手で持って三口に分けて飲み干します。

基本をおさえて我が家らしいおせち料理にアレンジ

おせち料理の基本は四段重と控え一つ。上から数えて一の重には、口取りといって、きんとんや伊達巻、かまぼこなどを入れます。二の重には鯛やさわらなど、その土地にふさわしい魚に、いかやぶりなどの焼きものとはじかみを。三の重にはお煮しめなど煮もの、四の重は酢のものというように、料理の種類で分けて重箱に詰めます。控え重は祝い肴の昆布巻やかまぼこ、するめ、ごまめや黒豆、たたきごぼうなどを入れる方法と、ほかの重の補充用に使うこともあります。この基本さえ覚えておけば、あとは好みや材料の有無でほかの料理に取り替えることもできますし、接客の折の祝い膳にも形が整うでしょう。また、こういった伝統的なおせち料理以外に、最近では洋風料理や中華風にアレンジしたものもあります。器も重箱にこだわらず、オードブル皿や蓋ものを使うのも一つのアイデアです。大切なのは我が家の正月料理にすること。自慢の料理があるなら一~二品加えたり、盛りつけを考えるなど、工夫を凝らしてお正月の祝い膳にふさわしい内容にするようにしましょう。

COLUMN
おせち料理は、日本料理の集大成
現在のように、グルメ風潮に慣れてしまった世代には、おせち料理は古めかしい伝統料理としか思えないかもしれません。しかし、本来のおせち料理はその内容や組み合わせに栄養や味覚のバランスが取れ、重箱への詰め方も合理的で美的にも完成度が高く、日本料理の集大成とも思われるほどのもの。しきたりどおりおせち料理をつくるのは、いまの家庭では大変なことですが、この料理の基本的精神は現代にもおおいに生かすことができるはずです。日本人の生活の中で育まれてきた祝い膳のあり方を取り入れ、我が家なりの「おせち料理」にアレンジしたいものです。


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