冠婚葬祭Q&A マナー辞典 > 葬のマナー > 危篤~臨終[遺族] > 臨終を告げられたら?
医者に臨終を告げられたら、その場に居合せた人たちで末期の水(亡くなったばかりの人の口に、人生最後に家族が枕元に寄って水でうるおすこと)をとります。これが最初の儀式で、もともとは仏教のものですが、最近では宗教を問わず行われる傾向です。ただし、カトリックではあまり行いません。
儀式の行い方は、新しい割ばしに脱脂綿やガーゼを白糸でしばったもの、あるいは筆などを水に浸し、故人の唇を軽く湿らせます。順番は、配偶者、親・子、兄弟姉妹など血縁の濃い人から行います。
●末期水の取り方
新しい筆か、脱脂綿をつけた割り箸で唇を軽く湿らせます。順番は血縁の濃い人から。
死亡が確認されたら遺体を清めます。これを「湯灌」と言い、昔はぬるま湯で全身を清めましたが、今日では、アルコールか湯で拭き清めるのが一般的です。そのあと汚物が出ないように、耳、鼻、のど、肛門などに脱脂綿をつめます。病院で亡くなった場合は看護婦が行ってくれます。また自宅の場合も死亡に立ち会った医師や看護婦、葬儀社が行ってくれますが、本来は遺族が行うものですから、家族もなるべく手を貸したいものです。
湯灌を終えたら遺体の身づくろいをします。男性なら髭をそり、女性なら薄化粧をほどこします。髪を整え、爪が伸びていたら切りそろえます。顔のやつれがひどいときには、口の中に綿を含ませます。目や□が開いていたら、まぶたをそっとなでるようにして閉じ、あごを持ち上げてしばらく支えて閉じます。
死化粧がすんだら故人が生前愛用していた和服や洋服、あるいはゆかたに着替えさせます。和服の場合は通常と逆の左前の打ち合わせに。洋服の場合は通常通りに着替えさせます。
昔ながらのしきたりでは、経衣を着せて手甲、脚絆(脛の部分に巻く布や革でできた被服)、白足袋などをつけますが、最近では遺体の上に紙製の経衣を掛けることが多くなっています。
遺体は頭を北に向かせて寝かせますが、部屋の都合で北枕が無理な場合は頭を西にもってきます。神式の場合も北枕にしますが、キリスト教式やほかの宗教の場合は方角にこだわりません。白い布で顔をおおい、敷ふとんは一枚程度。掛布団はふだん足元にくる側を頭の側にもってきます。枕は低すぎると口が開いてしまうことがあるので、気を付けましょう。
●遺体安置の例
北枕に寝かせ、丈の低い屏風があれば、枕元に逆さにして枕屏風とします。
枕飾りとは、遺体を安置した枕元に臨時の祭壇を設けて、仏式なら僧侶にお経をあげてもらうわけですが、その祭壇を「枕飾り」と言い、枕元で行う行事を「枕づとめ」、お経を「枕経(まくらぎょう)」と言います。
枕飾りは、葬儀関係者が整えてくれますが、グラスや茶わん、ご飯、はし、枕だんごは遺族側で用意します。
遺族が枕飾りを整える場合は、簡単な白木の台あるいは小机に白布をかけたものを用意します。そこに燭台、線香立て、ろうそく、線香、枕だんご、水を入れたグラス、故人が使用していた茶わんにご飯を山盛りにして中央にはしを立てたものを供えます。
花立てには、櫁(しきみ)を一枝、あるいは白い菊の花を一輪立てるようにします。
また枕だんごをつくる場合は上新粉を用います。つくっただんごは、三方や白い皿などに載せますが、その数は、六、十三、四十九個などと地方によって異なります。
●仏式の枕飾り(例)
だんごや一膳飯はできるだけ早く供えます。
枕経をあげてもらうときは、遺族や近親者も同席し読経が終わると血縁の濃い順番に線香をあげてお参りします。服装は平服(普段着る衣服のこと(男性:スーツ、女性:スーツ・ワンピース)あまりラフ過ぎるものはNG)でかまいません。
最近は枕づとめを省略することもありますが、省く場合でも遺族の誰かがいつも遺体に付き添うようにして、枕飾りの線香やろうそくの火を絶やさないようにします。
●枕づとめには遺族や近親者も同席し線香をあげてお参りします。